一九九五年、NHKテレビは五回にわたって阪神淡路大震災特集番組を放映した。同年九月三〇日に放映された「建物を強くするには」では、破壊されたマンションのコンクリートの品質に焦点をあてていた。小梁の強度は、設計基準強度二一○Kg/mを四〇%も下まわる低強度だった。このように低強度になった理由は、コンクリートの空隙率の測定結果がしめしている。コンクリートの強度は空隙率によって決まるからである。では、土木構造物のコンクリートは、どんな値なのだろうか。倒壊した山陽新幹線(野間地区)、阪神高速道路神戸線(西宮)および阪急神戸線(観音寺付近)などの高架橋柱から得られたコンクリートについて測定してみると、空隙率は一四・六%、一四・四%、一四・一%だった。Aマンションの小梁の空隙率は、高架橋柱にくらべて五〇%も大きい値である。なぜ、このようなスカスカのコンクリートが打ち込まれたのだろうか。それは、水増し生コンクリートの使用による。スカスカのコンクリートは劣化も急速に進行する。コンクリートの劣化の速度は、中性化深さによって知ることができる。Aマンションの小梁の中性化深さは五センチ、これにたいして山陽新幹線や阪神高速道路の高架橋柱の中性化深さは三センチていどだった。Aマンションと同じ年数を経た健全なコンクリートの中性化深さはニセンチであるから、Aマンションのコンクリートの劣化は健全なコンクリートの約二・五倍の速度で進行していたのである。コンクリートの強度不足は、とくに建物基礎に多く見られる。埼玉県下のある分譲マンション(三一棟一〇〇〇戸)では、建設一〇年後に全棟の建物基礎からコンクリート試料を抜きとって強度を調べたところ、三棟のコンクリートが設計基準強度一八〇Kg/mに達していなかった。その後、白華現象が顕著にあらわれた二棟(M棟とS棟)の建物基礎から、コンクリート試料を抜きとって強度を調べた。
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