ぼくは、住宅を設計する際、できるだけ多くの収納スペースをとることを一つのポイントにしている。現在の日本の住宅事情では建築面積の制約が厳しく、昔の家のように大きな納戸をつくるなどということはとてもできないが、通路スペースに壁一面に戸棚をつくったり、階段の下、床下、あるいは、屋根裏を利用したりして、分散した収納スペースをとると、その総計はかなりの量にすることができる。かつてマンションからぼくの設計した家に引っ越してきた友人夫婦が、家財道具をすべて運びこんだ後でも、空いた棚がたくさんあるので、「ありゃあ、物を吸いこむ家だね」と言ったほどだ。
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マンションに比べれば一戸建の住宅は、たとえ同じ床面積でも屋根裏や床下など収納に利用できるスペースが多いのだから、友人夫婦の驚きは当然といえば当然なのだ。しかしそれにしても、“物を吸いこむ”というオーバーな表現は、物と積極的につきあえる家という自分の設計意図の成功を示す、うれしい讃辞であった。住空間の“したたかさ”は、その住宅の収納量如何によるところが大きい、とぼくは思う。